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北陸観光研究ネットワーク第 3 回研究会

  • hokurikukankounetwork
  • 2020年1月29日
  • 読了時間: 3分

テーマ:文化と観光 -これからの文化財を生かした観光・まちづくり

日時:2019 年 9 月 22 日(日)14:00-17:00 場所:福井県福井市 AOSSA602 号室

ゲスト:村上佳代(文化庁地域文化創生本部広域文化観光・まちづくりグループ調査官)


ゲストトーク要旨

村上佳代氏より、「これからの文化財を生かした観光・まちづくり」というタイトルでご講演 をいただいた。主な内容は以下の通り。 ・文化庁が観光を語ることは近年までなかった。政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成 28 年 3 月)で「文化財の観光資源としての開花」が打ち出されたことを受け文化庁は「文化財活 用・理解促進戦略プログラム 2020」を策定(平成 28 年 4 月)し、美装化や解説の充実など文化 財の観光活用への取り組みを進めている。

・持続可能な自立した観光が必要。保存するだけでなく現在の人々が楽しむ仕組みを盛り込むこと で入場者増を実現している例として二条城がある。

・文化財と観光が循環することが重要であり、戦略的なキャリング・キャパシティを検討すること (文化観光による文化財管理に必要なコスト、持続可能な文化観光を実現するために必要な訪問 者数、文化財の保護を担保するための容量制限等)が必要。

・平成 30 年度文化財保護法が大きく改正され今年度より施行されている。担い手不足や人口減少 で継承が難しくなっている文化財を社会総がかりで支える仕組みを作ることが趣旨。市町村が策 定する地域計画では、未指定の文化財も把握し、民間等も含めた地域一体で継承する体制構築を 目指すとともに、文化財部局だけでなく建設部局、観光部局、農水部局等がかかわり、文化財を 関連分野とともに地域課題の解決へつなげる視点が重要。

・過疎の集落が古民家再生で活性化している例として篠山の集落丸山が紹介された。


フリーディスカッション

文化資源を活用し観光に利用するうえで「演出」はどこまで許されるのか、観光への活用で オーセンティシティ(真正性)が失われる危険性はないか、そもそも収支があいにくい文化財 の維持活用の意義をどう示すことができるのか、もともと価値が認められていない未指定の文 化財をどのように活用できるのか、等の論点について活発に議論が展開された。

また、価値を見出しにくい無形の文化について、例えば同じことをし続けるだけでは廃れる 踊りでも新しい要素とフュージョンすることにより若い人が参加するようになり、本来の価値 が残されることもあるという例が紹介された。

文化財と観光を結びつける動きは緒に就いたばかりであり、様々な経験や事例を検証し議論 を重ねていく必要性が確認された。

報告者:朝倉由希 (文化庁地域文化創生本部研究官/福井県立大学非常勤講師)





 
 
 

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