2月21日、京都大学から中森弘樹先生を迎え北陸三大学交流ゼミが開催されました。 前半、富山大学から3名、JAISTから2名の学生がそれぞれの研究を発表し質疑を受けます。富山大学からは民泊の法規制のあり方、防波堤の立ち入り規制と釣り場の利用について、小中学校の指導要領・教科書からみる野生鳥獣の保護管理の取り扱いについて、とそれぞれ、法律の観点から現在の社会を切り取った研究が発表されました。JAISTからは、フィルムコミッションの地域資源創出の可能性についてと、シビテックを用いた社会課題解決のプロセスについての発表がなされました。学生同士、他大学の発表は分野も変わり、新鮮さを感じられたのではないでしょうか。
続いて、「社会学は何を研究するのか」と題して菊地直樹先生(金沢大学)から、レジデント型研究というスタイルで社会で起きていることを紐解こうとする社会学についての講演があり、その後、「疾走する失踪の社会学」と題された中森弘樹先生(京都大学)の講演がなされました。 「疾走」という一般的に不穏当とされる行為について、どう問いを設定し、どう研究を進めていったのか。中森先生の実践と考察の過程をたどり、アジール(避難場所)としての失踪の役割や、現代社会における失踪の許容という提言が紹介されました。 その後、失踪の定義や役割などについて活発なディスカッションがなされました。中森先生は失踪を「よく分からない」あいまいな現象と捉え研究されていますが、そのような対象であるということも、知的刺激を大いに与えてくれるものでした。失踪と観光は一見相いれないようですが、視点を変えるとかけ離れたものではないようです。興味を持たれた方は『失踪の社会学』(中森弘樹著・慶応大学出版会)をどうぞご覧ください。
敷田研究室 研究員 岸上祐子
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